
男子プロテニスプレイヤーであるディエゴ・シュワルツマン選手をご存じでしょうか。彼は190㎝が普通とも言われる2019年のATPツアーで、170㎝という比較的小柄な体格でトップに食い込んでいる数少ない選手の一人です。パワフルなテニスが印象的で、全米オープン2019ではズべレフ選手を見事破りました。今回は彼の特徴やプレースタイル、最近の成績やどんな選手と相性が良いのかを紹介していきます。
シュワルツマン(Diego Sebastián Schwartzman)選手とは
シュワルツマン選手はアルゼンチン・ブエノスアイレス出身のテニス選手です。アルゼンチンはデルポトロ選手の出身国としても有名ですね。
シュワルツマン選手は2010年からプロとして活躍していて、1992年8月生まれです。2019年9月段階で27歳ですね。錦織選手より2歳年下でジョージアのバシラシビリ選手と同い年です。世代としては、ディミトロフ選手なんかも近いですね。
彼の特徴としてまず目につくのは170㎝の身長であり、現在世界ランクは21位ですが、ランキング50位以内でおそらく最も低身長の選手です。170㎝台の選手も少ないくらいです(思い当たるのは錦織選手、フォニーニ選手など)。もうほんの少し低いランキングに目を移すと、日本の西岡選手やイタリアのファビアーノ選手が170㎝前半ですが、21位で170㎝というのは驚異的です。高い打点からの鋭いサーブで主導権を握り、試合を有利に進めていく選手がトップ層には多いので、本当に稀有なトッププレイヤーですね。それに過去最高ランクは11位、トップ10入りをするのもそう遠くない未来でしょう。
次はプレーに関してです。彼のプレーにおける長所はいくつもあります。フォアに回り込んで打ち込む逆クロスからのパワフルなショットや、縦横共に速い軽快なフットワーク、身長のハンデを極力感じさせないコースの良いサーブ、そして圧倒的なリターン力です。リターンゲームのブレークが非常に多い選手として知られています。2019年ではブレーク数がナダル選手、ジョコビッチ選手に続き3位となっています。フォア・バック共にフォームも綺麗で、体重の乗った重い球をバシバシと攻撃的に、小柄な彼が打つ様は本当に小さな巨人ですね。ひと昔前のオリビエロクス選手も小柄ながら相当強かった印象ですが、シュワルツマン選手はさらにパワフルでエネルギーがあると思います。
最近(2019年辺り)の成績
まず今年の4大大会の成績ですが、全豪が三回戦敗退、全仏が2回戦敗退、ウィンブルドンが3回戦敗退です。初戦敗退こそないものの目立った活躍はないですね。上記の通り4大大会でもそうですが、シュワルツマン選手は2019年の3月、オペルカ選手に負けて以降、どの大会でも初戦敗退がないですね。もともと初戦敗退が少ない選手ではあるので、心身共に自己管理が上手いのでしょうか。
彼はダブルスの選手としても活躍しているため、全仏のダブルスでは同郷のペーシャ選手と組んで、なんとベスト4になっています。2019は彼にとってダブルスに関しては飛躍の年で、ティーム選手とペアを組んで2度決勝進出(地元ブエノスアイレス、そしてマドリードでそれぞれ準優勝)しています。ダブルスでは今年最高ランクを更新し41位、これからアメリカのソック選手のようにダブルスメインとなる未来もあるのかもしれません。
全米までの直近のシングルス成績としては、まずメキシコの「ロスカボス」という250シリーズの大会での優勝が挙げられます。250とはいえ優勝、どうやら少なくとも不調ではないようです。その後のカナディアンオープンではバウティスタアグート選手に敗れ2回戦敗退、シンシナシティではその大会で好調だったガスケ選手に3回戦で敗れています。うーん、以前紹介したメドベージェフ選手ほど好調というわけではないですが、まあ悪くはない、という感じですね。保っているという印象です。保っていて、全米で良い方向に爆発という形ですね。3回戦まで3セット連取で勝利、4回戦もズべレフ選手に3-1ですから、相当すごいです。ブレイクもやはり多かったです。
BIG4や錦織選手など、トップ層との対戦成績
ではキャリアを通しての有名選手とのシングルス対戦成績を見ていきましょうhttps://www.atptour.com/en/players
- BIG4
- 0-7 ナダル (これで対戦した選手にシュワルツマン選手が0勝7敗の意)
- 0-4 フェデラー
- 0-0 マレー
- 0-3 ジョコビッチ
- 同世代
- 2-4 ティーム
- 1-2 ディミトロフ
- 0-0 バシラシビリ
- 若手
- 1-1 ズべレフ弟
- 1-1 チチパス
- 1-0 ルブレフ
- 2-1 フリッツ
- 1-2 コリッチ
- 0-2 メドベージェフ
- 1-1 ハチャノフ
- ビッグサーバー
- 1-1 オペルカ
- 0-1 イスナー
- 1-2 アンダーソン(ケビン)
- 日本
- 1-3 錦織
- 3-0 西岡
うーん。なんというか、どの選手にも勝ったり負けたり、という感じでしょうか。ビッグ4(というかビッグ3)には一度も勝てていませんね。トップテンへのジャイアントキリングはあるがそれほど多くない、しかし逆を言えば100位以下などからされることも少ない選手、レベルの近い選手と2~4回戦で競って勝ったり負けたりを繰り返している、という印象です。
