【小説】おすすめの綿矢りさ作品3選

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
綿矢

17歳で文芸賞受賞、19歳での芥川賞受賞で話題になった小説家、綿矢りささん。今回は彼女の作品の中でも特に読んでいただきたい、おすすめの3作を厳選して紹介します。恋愛系の小説が多く、非常に読みやすい綿矢作品ですが、現代における仕事や結婚、家族などに関して、私たちに新たな発見をくれる内容が多く書かれています。

インストール

まず紹介したいのがインストール。綿矢さんのデビュー作ですね。文藝賞を受賞した作品です。主人公は登校拒否をしている女子高校生で、彼女は達観した小学生と一緒に、とある仕事をこなしていきます。この仕事が面白いので、是非本編を読む中で知っていただければと思います。

主人公の心の中でいろんな変化が訪れる様が面白く、自分に重ねて読むこともできます。設定はユニークですが、普遍的な悩みを描き出しています。登場人物の時に陽気な一面も好きです。

高校生のキラキラ感は一切なく、いや、未成年における悩める時期というのは、高校時代を過ぎた人たちにとっては、それが一見泥臭くても、その出来事や心の移り変わり自体が、キラキラして見えるのかもしれません。

上戸彩さんと神木隆之介さんが共演し、映画化もされました。巻末に載っている、高橋源一郎さんによる解説も面白かったです。

そして文庫本に収録されている『You can keep it』という短編も非常に面白かったですね。大学生の主人公が可愛らしいです。嘘について考えさせられました。

蹴りたい背中

次は蹴りたい背中。芥川賞受賞作です。小説冒頭の理科室での文章から心を掴まれて一気に読んじゃいました。学生時代のなにげない、平和と言えば平和なんだけど、心無い人々の安直で寒い空気感に少しいら立つ、どこか物足りない、何とも言えないトガった感じ、なんでこんな正確に表現できるんだろうと驚きました。僕には上のように曖昧な表現しかできません。

主人公はいわゆる“ぼっち”の高校生であり、同じくクラスでぼっちの男子と話すようになり、その話すきっかけとなったモデルのライブに行ったり、その男子の家におじゃましたりする話です。ここまで書くと、

てやんでい!それぁラノベでい!うらやましいでい、その男子!

なんて思う方もいるかと思いますが、残念ながらキラキラ感はまたしてもないです。ただ現代日本における人間関係の縮図などを冷静に描き出しているなあという印象です。リアル。

夏のべたっとした汗臭い感じが小説に広がっている印象です。でもそれが良いのです。

私をくいとめて

最後は『私をくいとめて』。こちらはけっこう最近の作品で、2017年に出版されました。綿矢さん初の新聞連載作品です。小説ってあまり連載というイメージがないから(文芸誌とかだと普通にあるのかな?)、まだ完結してないのに文章書いて、それを毎回読者に見られるってけっこう大変なんじゃないかと思いましたね。

この作品での主人公は独身の30代OL。ある時から頭の中に自分じゃない声が聞こえ、つまりイマジナリーフレンドを作ってしまい、そのフレンドと共に(その空想にアドバイスをもらいながら)恋愛や仕事などに励んでいく話です。

この小説の、日々仕事があり恋愛にも悩みがあるのだけれど、どこかその日常が、空想の友達がいることによってファンタジーで彩られるような、そういった不思議な読書体験が楽しかったです。読んだ後、悩み事に対して勇気を持って取り組もう、そう思わせてくれる小説でした。

この小説を読んでいる時、『ペーパーマン』っていう洋画を思い出しましました。それもイマジナリーフレンドの話なので。今回は綿矢さんに関する記事ですが、『ペーパーマン』は大好きな映画なのでおすすめしたいです。ライアンレイノルズやエマストーンも出演しているコメディ映画で、あまり売れないスランプ中の老年小説家が、田舎の若者との交流で少しずつ考え方など変わっていく話です。

まとめ

『私をくいとめて』出版後の金原ひとみさんとの対談記事を読んでいて思いましたが、本当に綿矢さんの小説には、地味にキツイものが書かれているなあ、と。この世のどん底、というわけではなくて、日常や生活風景の中での、じめじめしていて胸にじわっと鉛が広がるようなタイプのやつ(個人的な感想です)。でもそれを描いてくれるから読みたくなるんです。対談記事(非常に面白かったです)↓

https://dot.asahi.com/wa/2017020300058.html?page=2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*

CAPTCHA